最高裁判所第二小法廷 昭和25年(オ)250号 判決 1951年10月19日
八戸市大字港町字大沢二七番地
上告人
八戸魚類加工商工業協同組合
右代表者理事
長谷川貞三
右訴訟代理人弁護士
浅石大和
函館市海岸町一二二番地
被上告人
函館食糧工業株式会社
右代表者代表取締役
佐藤武雄
右当事者間の売渡代金請求事件について、札幌高等裁判所函館支部が昭和二五年五月一二日言渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨上告の申立があつた。よつて当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告理由第一、二点について。
所論証拠調の決定は原審口頭弁論において適法に取消されたことは記録上明らかであるその他、証拠調の限度は、事実審たる原審の自由裁量に属するところであつて、原判決には所論のような違法はなく、論旨は採用することができない。
同第三点について。
所論内金二万円弁済の事実は、上告人が原審において主張しないところであるから原審がこれについて判断をしなかつたのは当然であつて、論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。
右は、全裁判官一致の意見である。
(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)
昭和二五年(オ)第二五〇号
上告人 八戸魚類加工商工業協同組合
被上告人 函館食糧工業株式会社
上告代理人弁護人淺石大和の上告理由
第一点 控訴審判決には法令の違背あり。
控訴審は昭和二十四年十月七日口頭弁論に於て控訴人申請に係る証人櫻庭源六、出貝熊吉、花万商店事宮川慶吉、控訴本人長谷川貞三の証拠調を為すことを決定したに係わらず、右証人の証拠調を為さないのは民事訟訟法第三九四条の法令に違背したものと言わなければならない。
第二点 控訴審判決は採証の法則に違背がある。
上告人は控訴審に於て、いか細切機械の買入は八戸魚類加工商工業協同組合でなく、櫻庭源六である旨を抗弁して居るのであるが、その本件に於て甲号証、乙号証の採証は裁判官の自由特権に属する処であるとするも、本件の中枢をなす櫻庭源六、長谷川貞三の証拠調を為さないのは社会通念乃至裁判の採証の法則に反するものである。
第三点 控訴審判決には理由を附せない不備がある。
控訴審に於て控訴人の抗弁が仮りに成立たないとしても上告人は機械残代金二十万円に対し、昭和二十四年一月二十二日金二万円を支払つて居ることは乙第二号証の(一)、(二)により明白である。
然るに控訴審判決が之を認めながら、上告人に二十万円の支払債務の存することを判示したのは民訴第三九五条第六項に所謂理由を附せず、又は理由に齟齬あるものと言わなければならない。
以上何れの点より観るも控訴審判決は破毀を免れないものである。
以上